べにまんさくは、マンサク科の落葉低木「マルバノキ」の別名です。名前のとおり葉が丸く、付け根のくぼみと先のとがりで、ちょうどハートのかたちに見えます。手のひらにのるくらいの、やわらかい葉です。
春から夏は明るい緑。秋が深まるにつれて縁からゆっくり色が入り、やがて葉いちめんが真っ赤に染まります。木いっぱいの赤いハートが、風に揺れます。

紅葉と同じころ、枝には小さな花が咲きます。細い花びらをひろげた、星のようなかたち。同じマンサク科のマンサクによく似た花ですが、その色は黄ではなく紅。マンサクの花に似ていて、紅い——その姿から「べにまんさく(紅万作)」と呼ばれてきました。葉が落ちたあとの枝に残る赤い花は、冬の入口の楽しみです。
花の少ない晩秋に、紅葉と同時に咲く——この花は、千利休が茶花として選んだ「利休七選花」のひとつに数えられています。小さく、うつむくように咲くので、探すつもりで枝を見てください。

この星型の花は、二輪で一対。背中合わせにくっついて咲きます。この形からはなかなか想像できませんが、そのそれぞれが受粉すると、実の部分がめいめいの方向へふくらみはじめ、二つの星はゆっくり一つのハートに育っていきます。咲いているあいだだけ見ていては、気づかない話です。実は青いうちは黄緑色で、熟すと黒くなって二つに割れ、なかの種をこぼします。赤く染まる葉、赤い星の花、そこから生まれる小さなハート。この木は、赤とハートでできています。

宮浜温泉では、このべにまんさくを宿や温泉施設がそれぞれの敷地に植えています。日帰り温泉施設「べにまんさくの湯」の名も、この木から。ハートの葉があふれる温泉郷になったらいい——その願いを、一本ずつ植えながら育てているところです。
葉のかたち
丸い葉の付け根がくぼみ、先が少しとがる。裏返して見ると、いよいよハートに見えてきます。落ち葉を一枚、栞にする方もいらっしゃいます。
秋の赤
縁からじわりと色が入り、最後は葉いちめんが真っ赤に。晴れた日の逆光で見ると、赤が透けていちばんきれいです。
花の季節
紅葉とほぼ同じ時期に、細い花びらの赤い花が二つ背中合わせに咲きます。千利休が茶花に選んだ「利休七選花」のひとつ。小さいので、探すつもりで枝を見てください。



※ 色づき・開花の時期は年によって前後します。お越しの前にお問い合わせいただければ、そのときの様子をお伝えします。