広島平野のいちばん西のはずれ、大野瀬戸に面したわずかな傾斜地に、宮浜温泉はあります。広島県下最大の温泉郷ですが、賑やかな湯町ではありません。ラドンを含む湯と、海と、山と、水。それだけの土地です。
海——大野瀬戸と、宮島の裏側
宿の前に横たわるのは、宮島と本土のあいだの海峡・大野瀬戸。宮島行きのフェリーが行き交い、牡蠣筏が静かに浮かんでいます。
そして対岸は、宮島の西海岸。厳島神社のある参道側とは反対の岸で、ほとんど人の手が及んでいません。昔の人が見ていたままの島の姿が、そのまま目の前にあります。世界遺産の裏側を、毎日ながめて暮らしているようなものです。
山——経小屋山と、防人
背にそびえるのは標高約600mの経小屋山。山頂近くまで車で上がれば、広島湾と瀬戸内の島々が一望できます。
この山と海峡は、古くから西からの海の道の要でした。かつて辺境の警備に就いた防人(さきもり)たちも、この瀬戸を通り、この山を見上げたはずです。眺めのよさは、そのまま見張りのよさでもありました。
湧水と、温泉
経小屋山に降った雨は、花崗岩の山体をゆっくり下り、湧水となって里に出てきます。この土地の水がおいしいのは、そのためです。同じ地下の道筋から、ラドンを含む温泉も湧いています。山があるから水があり、水があるから湯がある。順番はいつもそうです。
風と、空気
広島湾に吹き込む海風が、この谷筋をいつも通り抜けていきます。夏でも夕方には涼しくなり、洗濯物はよく乾き、そして何より空気がきれいです。デッキに出て深く息をすると、ここが海のそばだとすぐにわかります。
棚田のあった斜面
今は住宅と宿が並ぶこの斜面は、昔は棚田でした。海に向かって段々に水を張り、米をつくっていた土地です。その名残に、今も米山神社が残っています。地名や神社の名は、その土地が何をしてきたかをいちばん正直に語ります。
べにまんさくを植える
近年、温泉郷ではべにまんさく(マルバノキ)を植える取り組みを続けています。丸いハートの葉が秋には真っ赤に染まる木で、日帰り温泉施設「べにまんさくの湯」の名の由来にもなっています。ハートあふれる温泉郷へ——静かな土地の、静かな目標です。

べにまんさくについてはべにまんさくのページで詳しくご紹介しています。
湯めぐりとご案内
土地を歩く・遊ぶ
- 経小屋山(標高約600m・広島湾の展望)
- 米山神社(棚田の時代の名残)
- 大野瀬戸の海岸線と牡蠣筏
- 宮浜アドベンチャーズ(海渡し・クルーズ・ヨット・カヤック・登山)
アクセス
- 山陽自動車道 大野IC より車で約5分
- 山陽自動車道 大竹IC より車で約5分
- JR大野浦駅より車で約5分
- 宮島行きフェリー乗り場まで車で10〜15分
※ 観光シーズンは周辺道路が大変混み合います。


